『The Scarlet Letter 』【薯】ナサニエル・ホーソーン
ナサニエル・ホーソーンが本書The Scarlet Letter を出版したのが1850年である。
本書の時代背景は,「広場の章」の出だしに「二世紀も前のある夏の朝」とあることから,西暦1600年代のことである。
この17世紀当時のイギリスからの清教徒の植民地であるニューイングランドのボストンの広場から話が始まる。
広場では,この地で行なわれた不貞裁判によって,処刑される女の噂話が飛び交っている。
噂話をしている女たちは,刑が軽すぎると言って,罪を犯した女に対して厳しい批判をしている。
それをたしなめる男がいる。
処刑される女は服の胸に赤のAを縫い付けて,3時間処刑台の上に立って市民の目にさらされ,その後もAの赤文字を付け続けなければならないという刑である。
女の名前はヘスター・プリン,不貞によって生まれた赤子を抱いて刑に臨んだ。
この赤子の名前はパールである。
ヘスター・プリンは,このさらし刑が済んだ後は,この地にとどまる必要がなかったにも係らず,町外れの海辺の質素な田舎家に住み,得意な裁縫で生活費を稼ぎ,犯罪者であるとのさげすみの言葉を言う者にも自分で縫った服を与えるなどの施しを続...