民事訴訟法 論文答案練習
~合意管轄~
【問題】
東京都に住むXは大阪府に住むYに対し、取引約款による管轄の合意があるとして、東京地方裁判所に訴えを提起した。管轄の合意の解釈を論じた上で、東京地方裁判所がこの訴訟を大阪地方裁判所に移送することができる場合について論ぜよ。
【考え方】
本問におけるポイントは、
①管轄合意の解釈
②民法の意思表示規定が適用されるか
③合意管轄と裁量移送の可否
(1)①について
・・・管轄の合意には、①法定管轄のほか管轄裁判所を追加する付加的合意と、②特定の裁判所だけに管轄を認め、その他の管轄を排除する専属的合意がある。
→ 個々の合意に付加的合意か専属的合意かの明示がない場合、いずれかは合理的な意思解約によって決定する他ない。
・見解
1)法定管轄のいずれかを特定し、または排除する合意は専属的であり、それ以外は付加的であるとする見解
2)特に付加的と解するべき特別の理由がない限り専属的であるとする見解
(2)②について
・・・管轄違いによる移送(民訴16条)の前提として、管轄の合意に民法の意思表示規定(民93条~96条)が適用...