佛教大学 S0528 道徳教育の研究 A判定レポート&科目最終試験解答 80点合格

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    資料紹介

    課題レポート(A判定)と実施された問題6問(うち解答5問)のセットです。
    全体公開にしますのでどうぞご活用ください。
    ただし、最近は資料を整理しなおしているので急に消えるかもしれません、悪しからず。
    他のレポートに関してもこの科目のように章立てて記述しています。
    他の試験問題解答については、これと同じような字数で、教科によっては図表を作成して覚えやすいようにしています。
    これを活用してみて、使いやすいと思われましたら、他の資料にも食指を伸ばしてみてください。

    新年度5月~問題が変わる可能性があります。
    上記の内容とシラバスやお手持ちの試験問題を照らし合わせて確認をお願いいたします。

    【レポート課題】

    「生きる力」の育成と道徳教育について述べよ。

    【試験問題】

    1 道徳教育の意義について述べよ。

    2 人間にとって、道徳がなぜ必要なのかについて述べよ。

    3 「生きる力」の育成と道徳教育について述べよ。

    4 第2次世界大戦以前の道徳教育について述べよ。

    5 第2次世界大戦以後の道徳教育について述べよ。

    6 欧米の道徳教育思想について述べよ。(解答なし)

    資料の原本内容

    『「生きる力」の育成と道徳教育について述べよ。』
    第1章:「生きる力」の定義
     1996年7月に出された第15期中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」以来、「生きる力」の育成が学校教育の大きな目的となった。本リポートでは、まずこの「生きる力」とはいかなるものかを明確にし、その育成を図る際の留意点を考察した上で、さらに「生きる力」の核となる豊かな人間性を育む道徳教育及び道徳の時間の在り方についても考察していく。
     第15期中央教育審議会第一次答申は、時代を超えても変わらない価値のあるものを大切にする(不易)とともに、社会の変化に的確にかつ迅速に対応する(流行)教育を実現するために、「生きる力」の育成という新たな教育の目的を提示した。ここで提示した「生きる力」は具体的には、以下の3つに集約されている。
    自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力
    自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性
    逞しく生きるための健康や体力
    すなわち、「生きる力」とは、以上の3つの能力からなる「全人的な力」であり、「人間としての実践的な力(知・徳・体のバランスのとれた力)」であり、「生きていくための知恵」とも言うべきものなのである。
     その後、小・中学校では2002年4月から新学習指導要領が全面実施され、高等学校では2003年4月から学年進行により実施された。この新学習指導要領は、以下の4つを目指したものであった。
    豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること
    自ら学び、自ら考える力を育成すること
    ゆとりある教育活動を展開する中で、基礎・基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育を充実すること
    各学校が創意工夫を生かし、特色のある教育・特色のある学校づくりを進めること
    また、具体的には、「ゆとり」の中で自ら学び、自ら考える力といった「生きる力」の育成、教育内容の厳選と基礎・基本の徹底、個性を生かす教育の推進、教育課程の基準の大網化および弾力化、「総合的な学習の時間」の創設などが学習指導要領を改訂した主な狙いとなっている。  
    しかし、このような狙いがあったにもかかわらず、学校週5日制の完全実施に伴い、授業時間が減少し、1999年以降、活発な「学力低下論争」を引き起こすこととなった。その結果、文部科学省も従来の「ゆとり」路線から「学力向上」路線への変更を迫られたのである。
    2003年10月、中央教育答申は「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」を出し、新学習指導要領の基本的な狙いは「生きる力」育成であり、各学校では家庭や地域社会との連携の下「生きる力」を「知の側面から」とらえた「確かな学力」育成のための取り組みを充実するように求めたのである。これにより、「生きる力」は、「確かな学力」と「豊かな人間性」と「健康・体力」という3つの能力からなる「全人的な力」と再定義されたのである。
    第2章:「生きる力」の育成
    「生きる力」については上述したような3つの能力の関係から明確になってきた。しかしながら、「生きる力」についての把握は、人間存在の構造的把握と対応した、よりダイナミックで相互連関的なものである必要がある。
    人間が「生きる」ということは、生物学的「生命」と文化・社会的「生(活)」と道徳的・人格的・宗教的「いのち」の3つの次元で生きるということである。この3つの次元は相互に密接に連関して、一つの全体を成し、その人の「一生」や「生涯」と呼ばれる。したがって、「生きる力」の育成を考える際には、その3つの連関を重視して行われなければならない。
    しかし、上田閑照は「現代、『生きること』即ち『生命と生といのち』の連関そのものに最も基礎的なところで何か狂いが生じている」と警告している。その一つは、人間的文化的生の異常な肥大増殖によって、「生命」に決定的な破壊を及ぼしつつあるということである。また、「いのち」への道が塞がれているということも挙げられる。このことは、科学技術の発展や高度情報化社会の到来による多数の知識・技能の習得が要請され、また基礎学力や受験学力の向上を求める世論にも押されて、いわゆる「詰め込み型の教育」が「全人的な力」としての「生きる力」を育成せんとする教育を圧迫しかねない状況にあることとも符合している。このことから、今日及び今後の教育は、「生(活)」優先の教育から、「生命・生・いのち」の連関を重視し、1章で述べたような3つの「生きる力」をバランスよく育成する教育へと転換されなければならないのである。
    3章:「生きる力」を育む道徳教育
    小・中学校学習指導要領第1章では、道徳教育及び道徳の時間の目標を「教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、豊かな心をもち、個性豊かな文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努め、進んで平和的な国際社会に貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うことを目標とする」と定めている。また、同第3章では、道徳教育の目標に基づき、各教科・特別活動・総合的な学習の時間における道徳教育と密接な関連を図りながら、「計画的、発展的な指導によってこれを補充、深化、統合し、道徳価値の自覚を深め、道徳的実践力を育成するもの」とされている。1989年の学習指導要領の改訂により、その目標において、従来からの「人間尊重の精神」に「生命に対する畏敬の念」が付加されたことからもわかるように、道徳教育及び道徳の時間は、「生命・生(活)・いのち」の連関を重視する教育が最も有効に展開できる領域であるといえる。
    指導すべき内容項目に関しては、以下の4つの視点から構成されている。
    自分自身に関すること
    自己の在り方を自己自身とのかかわりにおいてとらえ、望ましい自己の形成を図ることに関するもの。
    他の人とのかかわりに関すること
    自己を他の人とのかかわりの中でとらえ、望ましい人間関係の育成を図ることに関するもの。
    自然や崇高なものとのかかわりに関すること
    自己を自然や美しいもの、崇高なものとのかかわりにおいてとらえ、人間としての自覚を深めることに関するもの。
    集団や社会とのかかわりに関すること
    自己を様々な社会集団や郷土、国家、国際社会とのかかわりの中でとらえ、国際社会に生きる日本人としての自覚に立ち、平和的で文化的な社会及び国家の成員として必要な道徳性の育成を図ることに関するもの。
    学校現場における道徳教育は、以上の内容項目に沿いながら、各学年の発達段階に即して学校の教育活動全体を通じて行われる。これらの活動は、児童・生徒一人ひとりが「生命・生・いのち」の連関を重視するとともに、「人間尊重の精神」と「生命に対する畏敬の念」を育て、日常の中に生かすことができるようにしなければならない。
    <参考資料>
    田中圭治郎:編著 『道徳教育の基礎』 2006 佛教大学通信教育学部
    教職問題研究会:編 『教科外指導の理論と実践Q&A』 2002 ミネルヴァ書房
    S0528 道徳教育の研究 2010年版 試験問題紹介
    ★ページサイズはA4です。
    1 道徳教育の意義について述べよ。
    2 人間にとって、道徳がなぜ必要なのかについて述べよ。
    3 「生きる力」の育成と道徳教育について述べよ。
    4 第2次世界大戦以前の道徳教育について述べよ。
    5 第2次世界大戦以後の道徳教育について述べよ。
    6 欧米の道徳教育思想について述べよ。
    1 道徳教育の意義について述べよ。
    2 人間にとって、道徳がなぜ必要なのかについて述べよ。
     道徳とは、人のふみ行うべき道であり、人間相互の関係を規定するものとして外的強制力ではなく、内面的原理として働くものである。法律によって拘束されるものではないが、道徳は社会規範の一つであり、社会一般化し、是認されある程度強制されるものである。ゆえに、道徳は個人の自発性に支えられている部分と、社会から強制される部分のふたつがある。つまり道徳は、ある社会・時代において、人々の規範の総体であるが、社会・時代が異なった場合、摩擦が生じるものである。
     道徳教育とは、このような道徳を子どもたちに教えるものであり、よりよい生き方を求め実践する人間の育成を目指し、その基盤となる道徳性を涵養する教育活動である。道徳教育は、人間はすべて道徳的無律の状態から、自然的、社会的、文化的環境との相互関係を通じて他律を経て自律の段階へと育成されるべきものであり、教育の中核をなすものであるため、学校教育のみで果たすべきものではなく、家庭・社会の場で総合的に行うのが良いとされる。また教育基本法第一条における、教育は人格の完成を目指して行われなければならないことと、第二条の、教育の目的はあらゆる機会、あらゆる場所において実現されなければならない、というこの二つの条項で述べられている精神こそが、道徳教育の本質である。
     また歴史上代表的な哲学者であるカントとデューイも道徳教育について触れている。カントは、人間は教育によって人間になると考えており、特に自律的な教育である道徳教育を重視している。その実践においては道徳性を身に付けていく中で人間の動物的な面をできるだけ制限・抑制することを述べている。デューイは経験主義の哲学を重視しており、道徳についても経験過程から考察することを述べ、助言・援助・支援という指導によって、子ども...

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