憲法における国民の権利・義務について論じる。
日本国憲法の三大原理は国民主権、人権尊重、永久平和主義であり、中でも人権尊重主義の基本的人権を最も重視しており、第11条、第13条及び第97条で憲法上の国民の権利、義務に一般原則を定めている。個人の尊厳、基本的人権の保障、個人の自由、基本的人権に伴う義務、及び制約を謳っている。
憲法上の「国民」について述べる。
「国民」は次にあげる三つの意味で用いられる。第一に広い意味における国民、つまり日本国籍を有するものをいい、国家の構成要素、或いは全体としての国民であり、未成年、特殊な身分を持つ天皇・皇族も含む。従って明示的な国家意思を形成表示する国家機関、統治機関ではなく、憲法前文及び、第1条、第7条、第9条、第10条、第96条2項でいう「日本国民」或いは「国民」を指す。第二に主権者としての国民を指す。この場合、国民の中には天皇は含まれず、憲法第79条第2項、第96条第1項にいう「国民」がこの意味での国民である。第三に個々の個人としての国民である。この場合の国民は、国家権力に対して受動的地位にある。憲法第3章にいう「国民」及び第97条にい...