問題1:国会は「国権の最高機関」であるとはいかなる意味か。
「国会は、国権の最高機関である」
(憲法第41条前段)
。明治憲法においては、天皇が統治権
の総攬者であることから、これを最高機関と称した。しかし、現行憲法では、権力分立制の原則
の下に、国会が他の国家機関の意思に対して優越することを意味するわけではない。憲法は、権
力相互の抑制と均衡をねらって、内閣に衆議院の解散権を与え(憲法第69条)
、裁判所に違憲
審査権を認めている(憲法第81条)
。それにもかかわらず、国会が国権の最高機関であるとは、
明治憲法における天皇の最高機関性を否定すると同時に、国民を代表する国会を国政の中心に位
する重要な機関とみたからであろう。したがって、このことは、原則として、法的な意味を有す
るのではなく、
「形式的格付」として、国民に最も近いという意味に解することができる。
問題2:国会は「国の唯一の立法機関」であるとはいかなる意味か。
国会は、「国の唯一の立法機関である」
(憲法第41条後段)。国家の作用としての「立法」
には、形式的意味の立法、すなわち、国法の一形式としての法律を制定する作...