開設銀行は信用状の開設を受益者に通知することにより、一定の条件の下に受益者が振出す為替手形の引受け・支払いを行う旨を申込み、受益者が特に意義を述べず信用状を受領すれば、それが銀行の申込みに対する黙示の承諾となって、ここに開設銀行と受益者(売主)との間に信用状の条項をその内容とする為替手形の引受け・支払いに関する契約が成立する。これを信用状契約(the letter of credit contract)という。
上述したとおり、信用状の開設により、特に受益者が信用状を拒絶したりしない限り、開設銀行と受益者との間には、為替手形の引き受け・支払いに関する信用状契約が成立する。売主は、この信用状契約に基づいて、信用状面の条件を遵守して手形を振出しさえすれば、手形金額の支払いをうけることができる。そこで、はっきり理解しておかなければならないのは、信用状契約は売主・買主間の売買契約とはまったく別個の独立した契約であるということである。信用状は通常売買契約の存在を前提とするが、一度信用状が解説され、開設銀行と売主との間に信用状契約が成立すれば、信用状に基づく当事者の権利・義務は信用状契約すなわち...