繊維を対象にDSC測定を行い,得られたDSC曲線を解析する.
*DSC(Differential Scanning Calorimeter)
試料と基準の間に生じた温度差を0にするように電気的にエネルギーを加え,単位時間当たりに試料と基準に加えられた熱量の差dq/dtを記録する.DSC測定をすることで,試料の転移温度や融点などが分かる.
大部分の繊維は,結晶部分と非晶部分から成る.ガラス転移温度(Tg)は非晶質の高分子に特有な温度で,繊維の機械的性質に大きな影響を与える.
融点は,個々の高分子が他の高分子に対して自由に移動できる温度で,固体(結晶)が液体へと変化する温度であるといえる.一方Tgは,分子全体としての運動はできないが,分子中の一定の長さの単位が活発な運動を開始する温度であり,その単位をセグメントと呼ぶ.セグメントは炭素結鎖―C―C―C―C―の場合にはCの数が10〜20個程度であると考えられている.Tg以下の温度では,高分子はガラスのように硬いが,Tg以上ではゴムのように軟らかくなる。
DSC
目的
繊維を対象にDSC測定を行い,得られたDSC曲線を解析する.
方法
2.1〈試料〉ポリ塩化ビニル,ナイロン6,ポリエステル
2.2〈方法〉①アルミニウムパンに各繊維をそれぞれ詰めた.直示天びんを用いて詰める前と詰めた後の質量を測定し,繊維のみの質量を計算した.
②DSC装置を用い,それぞれ300℃までDSC測定を行った(加熱速度 10.00 ℃/min).
*DSC(Differential Scanning Calorimeter)
試料と基準の間に生じた温度差を0にするように電気的にエネルギーを加え,単位時間当たりに試料と基準に加えられた熱量の差dq/dtを記録する.DSC測定をすることで,試料の転移温度や融点などが分かる.
結果
結果は以下のようになった(表1).
表1 DSC測定の結果
ポリ塩化ビニル ナイロン6 ポリエステル 試料量(mg) 3.100 2.300 1.700 ピーク(℃) … 221.33 252.03 オンセット(℃) 84.43 213.52 247.83 エンドセット(℃)...