学歴社会とは何かを明らかにし、高学歴化が進行すると教育はどのように変化するのかについて学力の視点から述べてください。
現代の教育改革の進行の中で、教育の機会均等の視点からは、学歴社会は大きな批判の対象となっている。格差社会と言われている現代においては、不平等の再生産につながっているのではないかという議論にもなっている。しかし、日本の近代的発達におい学歴社会が果たしてきた役割は重要なものである。その歴史を考慮せずに単純に非学歴社会化を進めるのでは、今日の様々な教育病理を解決できるとは安易には考えにくい。そこでまず学歴社会の時代的背景を見ていく。
明治維新以前は士農工商の封建制度によって父の身分で、本人の資質・能力に関係なく将来が決定されていた分離型の社会だった。しかし明治維新期の「富国強兵」のような欧米化の社会の中では各分野における優れた人材を、質・量ともに安定的に確保しなければならなくなった。より効率的な人材養成・登用のシステムが必要となり、学歴社会化が進められた。日本の学校制度成立当初からあった受験競争は、上級学校への進学の機会を広く与え、能力本意の競争へつながった。政府は学校に...