ジョン・ロックにおける子どもの教育論、特に習慣形成や賞罰法を中心に述べよ。
ロックの教育論は紳士教育論と言われており、「善良で有徳で有能な」紳士を育成することを目的とした。徳育を第一とした人格形成を重視し、その教育の場を、家庭においた。ここでの紳士教育は、中産階級の男子に向けられたものといえる。
家庭教育で実務においては熟達し、ふさわしい振舞い、社会に貢献する知識と思慮分別を持つように教育していくことが重要である。そして健全な身体と精神を育むために、早期のしつけによる習慣づけが理性的な人格形成に必要であるとした。
ロックは子どもを社会の重要な構成員であり人格的存在であるとして考えている。子どもは理性的に事物を判断する能力を有しているため、自由と自律を尊重し、厳しい体罰や旧態依然とした教育観を批判して、自然の摂理に従った教育法を唱えた。
しかし、自然主義であっても、過保護や甘やかしで放置するのではなく、ある程度の拘束が必要となる。ひたすら過保護にすることは、子育てではあるが、教育とは呼べない。自然的な自己欲求は充たされるべきであるとする一方で、気まぐれな欲求は厳しく拒絶することが重要だ...