人の立体視のしくみを利用した商業の一つに、アトラクション施設などで多く見られる、「VR」というものが挙げられる。VR装置は、スクリーン上に3次元ステレオマルチプロジェクションと呼ばれる、3次元画像を2重に描き、それを人間の両眼で見た時立体視できるようにしたものである。従って、スクリーン上に右目で見た3次元画像と左目で見た3次元画像を重ねて描くもので、その1つの画像は、Open-GLとかVRMLなどの3次元画像処理ソフトウエアで描かれる。ただし、ちらつきが無いように立体視するために、立体ステレオメガネを利用するのが普通である。
数理自然6
三次元の原理
1.立体視の原理
立体視の原理には大きく分けて二つの要因が挙げられる。
〔A:心理・記憶的要因(単眼手掛り)〕
物体に陰影があったり、大小、高低、奥行き、きめの粗密、遠近法などがつくことに平面状であっても立体にものを捉えてしまう。
〔B:生理的要因(両眼視差)〕
(a)運動視差
人間の両眼の間の距離は、中心から中心までが約6cm~7cm程離れている。よって両目は、わずかに違った角度からものをみているため、左右わずかに違った映像が映っている。これを「視差」いう。
頭脳は、このわずかに違った映像を組み合わせて立体的な意識を作り出す。逆に、平らな壁など...