参考資料:現代日本農業の根本問題 (SERIES現代経済分析)
著者:工藤 昭彦 出版社: 批評社
農家の兼業化が進んだ要因について
兼業標準化が進んだ要因は大きく分けて以下の3つにすることができる。
まず①プル要因としての労働市場の展開、②プッシュ要因として農家世帯員の置かれた事情(農工間所得格差拡大)、③構造的要因として戦後農地改革の影響、兼業というかたちででも農業を続ける動機があるというようにあげられる。
以下ではこの3点について説明する。
①労働市場の展開
はじめに労働市場の展開からみていく。日本は戦後~オイルショックまでの期間は驚異的な高度成長を続け、その後低成長時代に入った。この高度経済成長によって製造業・建設業が拡大したために、農家労働力が商品として資本に吸収された。農家労働力に対して資本側から強力な需要があったため、プル要因として作用した。
さらに高度経済成長によって大都市工業地帯だけでなく、全国各地に地域労働市場が展開した。これによって在宅就職というかたちで周辺地域労働市場に労働力が吸収される傾向が強くなった。さらにこれは年齢・性別とは関係なく世帯員がそれぞれの状況に応じて若年層から中高年層まで就業可能な場が広がりこれもまたプル要因となった。
②農工間所得格差拡大
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