農業経済学特別講義Ⅳレポート
隣人訴訟事件を論評せよ。
昭和58年2月25日に津地裁で判決が下された事件についてみていくことにする。
ここでの問題点は、第一に本件の事実関係から、XとY夫婦との間で「この監護について法的に意味のある約束(=契約)」、この場合準委任契約が結ばれていたかどうか。仮に結ばれていた場合、契約上の義務を互いに履行していたかどうかということが問題となる。第二に契約関係が成立していないとしても、Y夫婦には不法行為責任が発生していないかという点が問題になる。つまり、Y夫婦の行動は注意義務について「過失」と評価されるかどうかという点である。
まず、第一の準委任契約が結ばれていたかという点についてみていく。X2とYの応答は、近隣者としての好意から出たものとみる事が相当であり、XがAの監護を全てYに任せるという契約関係を結ぶ効果意志に基づくとはいえない。このためにXが主張するYの債務不履行はその前提である契約関係が結ばれていないため認められないという結論であった。
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