「保育の現状と課題について」
現在、時代や社会の大きな変化にともない、子育てを取り巻く状況は大きく変わってきた。これまで国はさまざまな政策を行ってきたが、少子化の進行は歯止めがかからず、今後の日本社会に対する不安はますます大きくなるばかりである。就労と子育ての両方を支援する場として保育所等の役割は大きくなっているが、依然として解消しきれていない実態がある。保育制度の変革期にあたる現在の社会的背景や現状における問題点をあげ、その上で保育者に求められることは何かを述べる。
まずは、我が国の社会問題でも代表的な問題として挙げられる少子化について述べる。第二次世界大戦後、我が国は高度経済成長の中、都市化、核家族化、情報化、国際化などが進み、経済性や効率性が優先された社会へと急激な成長を遂げた。こうした変化の中で、大人のライフスタイルも変化し、合計特殊出生率は減少し、他の国と比較しても我が国は少子化が著しく進行している。合計特殊出生率とは、ひとりの女性が生涯の間に平均して産む数値である。これは、第一次ベビーブームの1947~1949年には4,32であったが、2008年では1.37まで減って...