《アイルランド移民に対する差別排斥について》
アイルランド人移民は旧移民・白人の中で差別の対象にされてきた。差別の根幹にあったのはカトリシズムに対するプロテスタントの反感だった。移民に対して開かれていた17世紀のアメリカでも、キリスト教の教派の違いに基づく差別は存在し、アイルランド人に対する“酒飲み” ・“礼儀知らず” ・“向こう見ず”といった民族的ステレオタイプと相まって、アイルランド人移民を差別排斥する要因であった。
18世紀においては、親英の政策をとっていた政府が、反英感情を抱いているとされたアイルランド人移民の帰化で反政府勢力が増すことを怖れたため、帰化条件の居住期間を延ばして帰化を妨げるということもあった。
アイルランド人移民に対する差別が最も深刻化したのは19世紀である。西部開拓や工業化によって社会の秩序が混乱に陥り、不安を覚えた人々のスケープゴートにこの時期も非難の対象はカトリシズムだった。そのためカトリックの修道院や学校が焼かれるといった迫害に遭った。
プロテスタントのカトリックに対する反感は、教派の違いだけに基づくものではない。プロテスタントがアメリカの象徴で...