韓国の伝統的な食生活というと、キムチをはじめに、様々な漬物を思い浮かべることが多い。特にキムチは世界範囲内にしても、よく知られている。キムチのことを事例として挙げれば、もっとも適切だと思う。キムチは、白菜・大根を主材料とし、芹.・芥子菜・にんにく・葱・生姜などの香辛野菜を副材料とし、塩・塩辛・唐辛子粉などで味を調えて、酢っぽくならないように保存する漬物である。キムチを漬け込むのはソウルでは立冬前後が最盛期、この時期には郊外から白菜や大根を運ぶトラックや荷車で混雑し、キムチの材料を扱う市場が立つ。親戚の主婦同士で互いに協力して漬け込む。キムチの材料費もかなりなる。醤油・味噌・キムチ・唐辛子・塩辛などをねかせた土器の甕は、庭の東側隅の陽当たりのよい場所の醤甕台に並べなれる。大きな甕は高さ一メートル近くに達するものもある。醤類のしこみ・醤甕台の管理・甕の世話などはすべて主婦の仕事とされ、男性は甕に手を触れることもない。醤甕台のほかにも厨房の土間の隅には毎日必要な穀物・塩・水などを容れる甕が置かれており、また農家のマルーや庫房にも穀物を種類・等級別に貯蔵する甕がたくさん置かれていて、これらもす...