「伊豆の踊子」に描かれる悲劇

閲覧数3,566
ダウンロード数8
履歴確認

    • ページ数 : 5ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    私はこのレポートを書くために、初めて「伊豆の踊子」を読んだ。小学生の頃に漫画化された「伊豆の踊子」を読んだこともあったが、それが少女漫画だった所為もあり「伊豆の踊子」は新潮文庫の裏表紙に書かれたような「美しい青春の譜」であると信じきっていた。しかし、実際に読んでみると、どうしても主人公の身勝手さのようなものが感じられ、「美しい青春の譜」とはとても私には思えなかった。
     今回、まず考えたいのは“おふくろ”の主人公に対する態度である。主人公への“おふくろ”の態度は一貫していないように思われるのだ。尋常小学校に通う自分の息子と主人公を重ねて親しみを覚え、大島にある家に主人公を招くなど、主人公に対して悪い感情を抱いてはいない。しかし、女たちが主人公に近付くことを決して良くは思っていない。
    「女どもはおふくろがやかましいので」(P27)
     二人きりだから、初めのうち彼女は遠くの方から手を伸ばして石を下ろしていたが、だんだん我を忘れて一心に碁盤の上へ覆いかぶさって来た。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    「伊豆の踊子」に描かれる悲劇
    ※ 引用は全て、川端康成「伊豆の踊子」『伊豆の踊子』(新潮文庫 昭和二五年)から抜き出した。
     私はこのレポートを書くために、初めて「伊豆の踊子」を読んだ。小学生の頃に漫画化された「伊豆の踊子」を読んだこともあったが、それが少女漫画だった所為もあり「伊豆の踊子」は新潮文庫の裏表紙に書かれたような「美しい青春の譜」であると信じきっていた。しかし、実際に読んでみると、どうしても主人公の身勝手さのようなものが感じられ、「美しい青春の譜」とはとても私には思えなかった。
     今回、まず考えたいのは“おふくろ”の主人公に対する態度である。主人公への“おふくろ”の態度は一貫していないように思われるのだ。尋常小学校に通う自分の息子と主人公を重ねて親しみを覚え、大島にある家に主人公を招くなど、主人公に対して悪い感情を抱いてはいない。しかし、女たちが主人公に近付くことを決して良くは思っていない。
    「女どもはおふくろがやかましいので」(P27)
     二人きりだから、初めのうち彼女は遠くの方から手を伸ばして石を下ろしていたが、だんだん我を忘れて一心に碁盤の上へ覆いかぶさって来た。不自...

    コメント1件

    xxxtruexxx 購入
    参考になりました。
    2007/01/10 22:57 (17年10ヶ月前)

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。