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刑法事例演習教材
13 一線を越えた男友達
Aの同意を超えてそのクレジットカードを使用した行為について
甲は、B店およびC点において、Aのクレジットカードをその同意した限度を超えて使用した。このことにより、甲には、B店・C店それぞれに対する詐欺罪が成立しないか(246条1項)。
詐欺罪が成立するためには、①欺罔行為、②被欺罔者の錯誤、③被欺罔者の交付行為、④占有の移転、⑤財産上の損害、⑥それぞれの要件についての因果関係が必要である。
本件では、クレジットカードの加盟店であるB店およびC店には、約款上、カード利用者が名義人本人でなければ取引を断る義務 を負っているところ、甲は、Aの名前を署名するなどA本人であるように装い(①充足)、B店・C店それぞれの店員を甲がA自身であるとの錯誤に陥らせた(②充足)。そして、この欺罔行為および錯誤によって、B店は28万円のバッグを、C店は18万円の腕時計を、甲に交付し(③充足)、甲はこれらの財物の占有を取得した(④充足)。このことにより、B店・C店は、本来であれば交付するべきではない財物を甲に交付した 以上、財産上の損害を被ったといえる(⑤充足)...