第1設題 テキストを読み進む内に生じる自分なりの疑問、批判を明確に述べよ。
哲学とは、一体、何であるのか。今日の学問の名称がほとんどそうであるように、「哲学」も明治初期に生まれた新しい翻訳語である。哲学が英語ではphilosophyであり、それがラテン語から出ていることは想像できる。しかし、それがそのままギリシア語のphilosophiaに由来し、それがphilen sophian、英語でto love the wisdomであり、フィロソフィは日本語に直訳すると智を愛する、「愛智」であると初めて知った。
ヘロドトスやトゥキディデスは、今日私たちが用いている意味の哲学ではなく、「好奇心に富んだ」、また「教養の深い」という意味で用いた。また、神にも非ず人にも非ずと稀有な賢明さを讃えられたピュタゴラスは、自らを愛智者「philo-sophos」であるとした。この場合の愛智とは、「観照」すなわち、本質を見極めることであり、著者のいう、世界の調和の原理の把握である。それは世間的な名誉や富への欲求からではなく、輪廻からの魂の自由、本来的な神性の獲得を目的としている。このピュタゴラス的な「愛智」...