はじめに、児童養護の体系の中で施設養護は、どの様な位置にあるのか述べていきたい。
本来子どもは、出生した家庭において親の手によって養育される。それは「家庭養護」と呼ばれる。一方子どもの中には、両親の離婚、疾病、死亡、虐待、就労等といった養育環境の問題や、子どもの心身に障害や何らかの問題があるために、家庭での養護が困難となった場合、家庭以外の場所で養育していくことを「社会的養護」という。これは、さらに二つの枠組みで構成される。一つは里親制度の様な、出来るだけ家庭に近い形態をとった「家庭的養護」であり、もう一つが「施設養護」である。これは、一般家庭と異なる設備をもち、広い敷地に建物があり、大勢の子ども達が生活する施設での養護をいう。さらに施設養護の体系をみていくと、家庭から離れて、全てを施設で過ごす「居住型養護」と、親元から通って一日のうちの数時間を施設で過ごす「通園型養護」の二つに大きく分類される。居住型養護には、乳児院や児童養護施設等の家庭環境・養育環境に問題のある児童のための施設と肢体不自由児施設等の心身に障害のある児童のための施設、児童自立支援施設等の情緒・行動面に問題のある児童...