旧司法試験の答案です。答案上記になる点について、コメントをつけてあります。
平成22年度第2問
設問1
小問(1)
本件パイプの所有権 は、C、Dのいずれに帰属するか。本件パイプの所有権がBに帰属していたか、BD間の譲渡担保権の法的性質 と関連して、問題となる。
譲渡担保とは、自己の財産の所有権を債権者に移転し、後に受け戻すこと方法による担保である。この目的は、あくまで担保権の設定にある。そのため、当事者の意思としては、所有権は債務者にとどめ、債権者は、担保権の実行によりその目的物の所有権を取得する権利を取得するものと考えられる。そうであるならば、譲渡担保の法的性質は、担保権の設定にあると考えるべきである。
本件では、BD間の本件パイプに対する譲渡担保権の設定は、担保権の設定を目的とするものであり、所有権はBに留められていたと考えられる。
したがって、本件パイプの所有権は、Bに帰属していた。
そして、Bは、Cとの請負契約(632条)に基づき、本件パイプをCの建物に取り付け、一体化させた。これは、BD間の譲渡担保権設定契約で認められていた範囲内の行為 である。したがって、Cは、またBに対して請負代金を支払っていないが、本件パイプの所有権は、附合 によ...