中世の起請文について、その特色を述べよ。
中世の起請文について、その特色を述べよ。
まず、起請文とは『宣誓の内容は絶対に間違いない、もしそれが誤りであったら(すなわち宣誓が破られた場合には)、神仏などの呪術的な力によって自分は罰を受けるであろうという意味の文言を付記した宣誓書』(二二〇頁)であり、罰文・告文・神判・誓紙などともよばれた。その書出しに「敬白 起請文」と書くのがほぼ定型で、『より重要なことは、その事柄について偽りない旨を宣誓し、もし偽りがあれば神仏の罰を蒙るべきことの二点を記述する。』(二二八頁)前半の遵守すべき誓約を述べた部分を前書といい、後半の神仏の勧請及び呪詛文言を神文という。
神文には、誓約した場合にその罰を蒙るべき神仏の名を記載する。神仏の名は時代が進むにつれて増加し、戦国時代にきわめて多い。どのような神仏が勧請されるかは場合によって異なり、梵天・帝釈・四天王にはじまり、「日本国中大小神祗冥道」といったような包括的な表現をした後に、個別の神名を列挙するのが通例である。天照大神がでてくるようになるのは、鎌倉時代以降で、伊豆・箱根の大権現・三島大明神が現れるのは、御成敗式目に付いている起請文の影響であろう...