「産業精神保健における問題を総括し、原罪なぜ職場におけるメンタルヘルスが重要なのかについて、分析、考察しなさい。」
勤労者の精神保健がクローズアップされてきた背景には、うつ病を中心とする精神保健疾患の多発と壮年男子の自殺の増加がある。
1990年以降、日本経済は長いトンネルに入り、深刻な停滞が続いている。長引く平成不況のもと、企業倒産が相次ぎ、リストラと称される解雇が進行し、失業率が増加の一途をたどった。日本の失業率は、求職活動をしている人のみを失業者と数えているため、実質失業者は、公式発表の5倍にのぼるともいわれている。
失業率が高くなると自殺率は一般に高くなる傾向があり、1998年以降わが国の自殺者が3万人を超えている。
不況社会における自殺という現象は、失業による経済的困窮によって自殺が増えるということだけにとどまらない。職を失うかもしれないという不安から、働く人びとの企業に対する従属意識が強まり、精神的に強く繋縛される結果、ストレスが増大する。
また、リストラと称される解雇を遂行するために、経営者側と働く側との板挟みになって煩悶したり、会社の不祥事件の処理のた...