佛教大学印度哲学概論、科目最終試験問題(4題)と回答例。
印度哲学概論
サーンキヤ派の三徳について述べよ
万有は唯一の本性から生成したもので、一定後には再びもとの本性に還る。この生成と還滅は無限の反復を行う。本性は勝因ともいわれる。この本性の実在は比量、すなわち推理知によって確認される。つまり、本性は直接確認できないものである。ゆえに本性はその結果である現象界から、逆に原因を推理する比量によって知らなければならない。それは因の中にすでに果は存在しており、一定のものから一定のものが生ずるからである。つまり、果は因の中になんらかの形で前もって存在していて、ある定まった状況によって出現する。これを因中有果説という。
本性から順次現れ出る諸原理を変異という。この変異は因中有仮説によって、みな因を有し、無常であり、宇宙に偏在せず、変化し、多であり、他に依存し、もとの因に変える性質をもち、部を有し、ほかの支配を受ける。しかし、変異でない根本勝因はこれらの条件とはまったく正反対であるのだが、変異と勝因の間にも共通の性質がある。それは三徳から成立しているということだ。三徳とは喜を本質として照明の作用を持つサットヴァ、憂を本質として衝戟(しょうげき)を働き...