課題
取引コスト論における中間組織に当てはまる企業(取引)の例を挙げて、それが市場や内部組織における取引になっていない理由を説明せよ
概要
本稿は、上記の課題を、アパレル産業を例に用いて説明する。アパレル産業において、加工工程はアパレル・メーカーが企画と販売を行い、縫製加工業者はその生産を担当するという分業制により行われている。この両者の取引関係は、中間組織に当てはまると考えられる。以下、その理由について、両者の取引関係の特徴と、それが持つ利点を踏まえて論じる。
中間組織は、市場取引と内部取引の中間に位置する取引であって、「取引特殊的資産」が鍵となる。この資産は、利用価値が特定取引に限られた資産の事で、他の取引への移転が困難なもので、得意先業務に関する知識やノウハウの蓄積等の特殊技能への投資や、特定製品製造の専用設備投資等がある。 アパレル産業においては、例えば効率的な生産工程や工業用ミシン等の設備が該当する。アパレル産業におけるメーカーと縫製加工業者との関係を下に示す。
この取引形態が市場取引でも内部取引でもない理由を説明する。縫製加工業者は、アパレル・メーカの下請であるため、製品の買取価格や製造の受注価格の決定については、立場上弱い立場にあると言える。最も良い条件を出す相手と取引する、即ち、価格メカニズムによって取引相手を決定するのが市場取引であるが、両者の取引は、取引相手を選択する際に制限があり、市場取引とは異なると考えられる。 また、内部取引は、取引に関する問題を権限に基づく階層で解決するものであるが、アパレル・メーカーと縫製加工業者は、互いに独立した企業であるので、アパレル・メーカーは縫製加工業者全体を監督するわけでない。このような点から、両者の関係は市場取引でも内部取引でもないと考えられる。
取引コスト論における中間組織
課題
取引コスト論における中間組織に当てはまる企業(取引)の例を挙げて、それが市場や内部組織における取引になっていない理由を説明せよ
概要
本稿は、上記の課題を、アパレル産業を例に用いて説明する。アパレル産業において、加工工程はアパレル・メーカーが企画と販売を行い、縫製加工業者はその生産を担当するという分業制により行われている。この両者の取引関係は、中間組織に当てはまると考えられる。以下、その理由について、両者の取引関係の特徴と、それが持つ利点を踏まえて論じる。
中間組織は、市場取引と内部取引の中間に位置する取引であって、「取引特殊的資産」が鍵となる。この資...