1.はじめに
子どもの保育を行う場として、幼稚園や保育所は代表的なものである。幼稚園は、学校教育法により規定された学校教育機関のひとつであり、保育所は児童福祉法により規定された児童福祉施設であり、それぞれの場で行われる教育や保育の目的や内容も定められている。そこで、本稿では幼稚園教育と保育所保育を比べ共通点や相違点に着目し、その目的と内容について述べる。
2.幼稚園教育の目的
幼稚園の教育目的は、学校教育法により規定され、学校教育の基礎として、幼児を保育し適切な環境を与え子どもの心身の発達を助長させることである。
適切な環境を与えるとは、園庭や園具などの物的環境、教師などの人的環境、時間や雰囲気など子どもの活動に関わる環境を、子どもが積極的に関わりたくなるように意図的、計画的に作り上げることである。そして、自発的、能動的、自己活動的である子どもが、意欲的に環境に関わり自ら活動を展開することで、望ましい方向への成長につながるのである。つまり、環境を構成することとは、環境を通した教育を意味する。
そして、家庭的な環境のなか、幼児期にふさわしい生活の展開、遊びを通しての総合的指導、...