事例研究行政法第3部の解答です。参考までに。
第3部〔問題1〕
食品添加物に対する規制をめぐる紛争
設問1
Aは、物質Sを、食品衛生法(以下、「食衛法」という。)10条の規定により「人の健康を損なうおそれのない添加物」を定める食品衛生法施行規則(以下、「規則」という。)12条の別表第1のリスト(以下、「リスト」という。)から除外することを求めたい。
そのために、Aとしては、ⓐ国に対し、物質Sをリストから削除することを義務付ける義務付け訴訟を提起することが考えられる(行政事件訴訟法(以下、「行訴法」という。)3条6項1号)。そして、仮の救済手段として、ⓑ仮の義務付けを申し立てることが考えられる(同法37条の5第1項)。
また、ⓒ物質Sが「人の健康を損なうおそれ」がある物質であるため、厚生労働大臣には、その使用を禁止する義務があることの確認訴訟を提起することが考えられる(行訴法4条後段)。
では、それぞれの訴訟について、訴訟要件を充たすか。
まず、ⓐ義務付け訴訟の可否について検討する(行訴法3条6項1号)。義務付け訴訟の要件は、①処分性(同法3条1項)、②重大な損害の発生(同法37条の2第1項)、③補充性(同項)、④原告適格(...