この作品の作者ゴーゴリは、19世紀のロシア文学の基礎を築いた作家である。彼は庶民の生活に目を向け、社会を鋭く風刺し続けた。その著作の1つ『タラス・ブーリバ』は、のちにクラシック音楽や映画にもなったものである。17世紀、ロシア正教を重んじるコサックたちは信仰的に対立するポーランド人と戦いを始めた。主人公のタラス・ブーリバはそこで活躍したコサックの隊長である。
タラスは激しい気性の持ち主だったが勇敢で正義感が強く、何よりも母国の伝統を愛し、自分がコサックであるということに誇りを持っていた。戦争のために自己犠牲を厭わず、裏切り者なら実の息子でさえ殺してしまうという極端な面もあるが、それは祖国を強く愛していたからだと思う。自らが火刑に処せられる瞬間に叫んだ、「お前たちもロシア正教の信仰がどんなものだか思い知るだろう」という言葉に見られる率直な信仰心が、彼をつき動かしていたのだろう。長男オスタップはタラスと同じように最後まで愛国心を貫いたが、次男アンドリーは敵方の娘に恋し仲間を裏切ってしまう。タラスはためらいもせずに彼を殺したが、その結論に達するまで、愛国心と息子への愛情の間で苦悩したに違いな
『タラス・ブーリバ』における愛国心と愛情
この作品の作者ゴーゴリは、19世紀のロシア文学の基礎を築いた作家である。彼は庶民の生活に目を向け、社会を鋭く風刺し続けた。その著作の1つ『タラス・ブーリバ』は、のちにクラシック音楽や映画にもなったものである。17世紀、ロシア正教を重んじるコサックたちは信仰的に対立するポーランド人と戦いを始めた。主人公のタラス・ブーリバはそこで活躍したコサックの隊長である。
タラスは激しい気性の持ち主だったが勇敢で正義感が強く、何よりも母国の伝統を愛し、自分がコサックであるということに誇りを持っていた。戦争のために自己犠牲を厭わず、裏切り者なら実の息子でさえ殺してしま...