周手術期の看護
周手術期看護とは・・・
手術患者の入院から退院までの期間に、患者に提供される看護ケア
周手術期看護の理念とは・・
術前・術中・術後の全期間を通して手術患者に一貫した全人的看護ケアを提供すること
周手術期看護の専門性
患者意思決定への支援
患者の権利の擁護者としての役割
医療機器と患者との調和への対応
治療の意味を保ちつつ最大限健康的な日常生活への援助
人との連携
急性期とは・・・ 健康状態の急激な変化があり、生態がその反応に対応するためにさまざまな反応を 起こしている時期
手術とは 麻酔を実施して病巣に直接メスを加えて、切除することから増設、再建、置換、移植など を行う治療法
!!手術を受ける患者の問題!!
心理的危機(怖い、不安)
生態浸襲による諸機能の低下(麻酔の影響、傷)
身体的ストレス(麻酔、傷)
基本的ニーズが満たされない(動けない→誰かにやってもらう)
ボディイメージの変化(傷が残る、なくなる)
家族への影響(経済的、役割的負担)
インフォームドコンセント時の看護師の役割 医師の説明を患者が正しく理解するのを助けたり、患者が主体的に治療法を選択することや、
十分納得して手術が受けられるよう援助する。
インフォームドコンセントの支援
思いを表現しやすい場の調整
医師との対話の支持
理解の確認とわかりやすい情報提供
気持ちの揺れに添う
患者の意思の尊重
手術に関する情報提供内容
病名、病態
手術の必要性、術式、麻酔法、輸血の可能性、手術日、手術期間、執刀医師、治療成績
手術の危険性、予防法と対処法
手術にともなう機能的、形態的変化、生活への影響、対処法
術前・術後に必要な検査や処置
一般的な術後経過、入院期間
費用
他の治療法の選択肢と利点・欠点
治療しない場合の見通し
手術前期
~術前期の看護目標からみた処置・ケア~
手術前期とは・・・ 手術が決定した時点から患者さんを手術室に搬送するまで
目標
疾病や病態についての患者の理解を知り、手術への意思決定支援や情報提供につなげる
術前のアセスメントを行い、可能な限り身体機能の改善をはかる
手術操作が円滑になるための身体準備を支障なく行う
手術に向けた心理的準備(術前オリエンテーション)を行う
術前教育、練習によって、術後合併症の危険性を減じる
手術によって生じる心身の変化を予測し、術後の回復や適応を促すために
必要な術前準備を行う
看護援助
~情報収集~
患者はどのような思いを抱え、何を不安に思っているのか、病状、手術の目的、必要性、
術後の見通しへの理解、治療法選択のための気持ちの整理、感情表出、情報提供、相談
~心身リスクのアセスメント~
リスクを査定し、それを減じるためのケアプランにつなげる
~身体的準備~
感染の危険性を減じ、手術操作の円滑化を図る。剃毛、食事制限、下剤、浣腸、
前投薬については適切性を判断した上で実行する
~心理的準備~
手術に対するイメージ作り、手術に立ち向かい、乗り越えるというコントロール感覚の獲得、
維持。困難や問題へのコーピング方略としての術前オリエンテーション
~術前教育・練習~
患者が主体的に手術に立ち向かい乗り越える準備をし、自己効力を高める。
手術による身体的苦痛、外観の変化、身体機能の低下・喪失などの状況について説明し、
苦痛や苦悩の軽減に努める
★術前看護のまとめ★
患者さんが安全で効果的な手術が受けられるように、患者さんの観察や、指導をしっかり行って精神的にも身体的にも良い状態が維持出来るように援助していくこと
手術中期
~術中期の看護目標からみた処置・ケア~
手術中期とは・・・
患者さんを手術室に移送してから手術を終えて回復室へ移送するまで
目標
患者の安全・安楽の確保と、安全で円滑な手術の導入と操作を支援する
異常や危機の予防、早期発見に努め、回復室、病棟での看護へ引き継ぐ
看護援助
~安全安楽の確保、異常や危機の予防・早期発見~
術中体温低下予防、体位による傷害予防に努める。血行障害、褥創、神経麻痺を避ける
★術中看護のまとめ★
手術が安全に実施出来るための準備
患者が安楽に手術を受けられるような精神的援助をすること
手術後期
~術後期の看護目標からみた処置・ケア~
手術後期とは・・・
回復室での急性期から病棟での回復期をへて患者さんが退院し、家庭、社会復帰するまで
目標
手術浸襲からの順調な回復を促進する
手術浸襲に伴う苦痛や不快感を最小限にする
手術に伴う回避可能な副次的障害や術後合併症を予防する
身体の変化とそれに伴う生活行動への適応を支援する
患者自身の対処能力やセルフマネジメント能力を高める
術後の健康レベルを少しでも高め、再発予防に努める
看護援助
~ケア実施の目的・意図の認識~
苦痛や不快感、不安や抑鬱などの状況におけるケアの必要性を認識する
~安楽ケアと緩和ケア~
安楽ケア:体位の工夫、背部痛への温罨法、マッサージ、タッチ
緩和ケア:痛みなどの症状コントロール、悪心、嘔吐、倦怠感などへの対処
~日常生活の回復~
換気、体動、離床、排泄の促進のケア。換気能低下、痛みや苦痛、倦怠感の軽減に努める
~定期的な観察・測定~
観察とバイタルサインの測定、感染予防のケア、患者は易感染状態にあることをふまえ
生体の防御機構を補強する
~個別性をふまえた支援・指導~
食事指導、身体活動・運動の指導、術後抑うつ状態の早期発見、定期検診、異常兆候の
発見と対処、患者の個別性を踏まえ、支援・指導内容を検討する
★術後看護のまとめ★
手術で受けた浸襲をできるだけ早期に回復させるために指導を行い社会復帰出来るように 働きかけること