『中小都市における公共図書館の運営』の意義とその影響

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    1963年3月に中小公共図書館運営基準委員会の委員長清水正三らによって『中小都市における公共図書館の運営』(以下、『中小レポート』)が発刊された。それまでの図書館は「図書館という建物があり、ここで本を読む」という考え方であり、一般市民の足を遠ざけていた。この現状を危惧し、館内奉仕から館外奉仕への転換、特に貸出中心の図書館への転換を推進しようと提言している。この『中小レポート』は1950年代の低迷した図書館状況に新たな道を切り開き、図書館運営の指針として、あるときは図書館運動のテキストとして読み継がれた。

    『中小レポート』は、国民が生活する基礎となる自治体を単位として図書館サービスを検討した。そして、「資料を求めるあらゆる人々やグループに対し、効果的かつ無料で資料を提供するとともに、住民の資料要求を増大させる」ことを公共図書館の本質的な機能と位置づけ、資料提供を他の図書館機能に優先させた。また、「中小公共図書館こそ公共図書館の全てである」と宣言し、利用者は生活圏にある地域の図書館を望んでいるのであり、「大図書館は、中小図書館の後楯として」あるべきだと方向転換を促した。この理念を現実化す...

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