現代日本の差別
本稿のねらい
現代日本にある差別はどのようにして形づくられてきたのか。また差別はどのようなものなのか。そして差別をなくすにはどうしたらよいかを考えるものである。今回は特に大きく問題とされている『部落差別』、『障害者差別』、『女性差別』をとりあげる。
ここでの差別の定義は『正当な理由によらず偏見や先入観に基づいて、あるいは無関係な理由によって、特定の人物や集団に対して不利益・不平等な扱いをすること』を指す。
差別の起源
3つの差別の起源についてみていきたい。
部落差別
戦後の研究の中では、部落差別の起源として主に政治起源説が言われた。これは階級支配に基づく政治権力による差別政策が部落差別を作ったというものである。中世社会の中で醸成されてきた被差別民階層の形成、差別観などを徳川幕藩体制による身分政策によって固定されたというものである。しかし権力が現実に存在する差別を利用し、支配の道具として使用したのも事実であるが、差別を創出するほど強力であったのか。また、差別というものは支配者の動向に左右されるほどのものであったのかなどが疑問視される。
幕藩体制以前で職業、異民族に起...