「武士たちの裏で活躍した女性たち
~卑弥呼と北条政子を例に~」
はじめに
今日、時代劇映画などが海外でも注目・評価され、その存在がまたクローズアップされつつある日本の「武士」。切腹や「武士は食わねど高楊枝」など、彼らの生きざまは気高く美しいものだとされてきた。確かに彼らの生き方には泰然として、現代人にはない「死に対する意識」の高さなどが感じられる。しかし彼らは一人で生き、一人で事をなし、そして死んでいったのだろうか。必ず彼らの隣には妻、もしくはそれに相当するような女性の影があったはずである。彼女たちはいつでも彼らと共に生き、死んでいったはずなのに、歴史上に名を残したものは男のそれに比べると格段に少ない。さかのぼってみれば、たとえ有名ではなくとも男たちを影で支えていた女性が多く存在していたことは明白な事実である。
そこで本稿では、表舞台で活躍した男(武士)たちを支えていた、もしくは発展的に政治をも動かした、または一般に名前の挙がるような歴史的にも有名な女性を何人か例として挙げ、その共通点や性格・素性、特徴・背景、彼女たちを取り巻いていた環境、そして彼女たちに深く関わった事件、乱等々を示し...