再生不良性貧血患者の看護
病態概念
再生不良性貧血とは
再生不良性貧血は、抹消血における汎血球減少ならびに骨髄の低形成を最も大きな臨床血液学的な特徴とする貧血である。近年、血球発生のメカニズムに伴う研究が著しく進歩したが、再生不良性貧血は不可逆的な低形成を主な特徴とする幹細胞の異常と定義される。再生不良性貧血は原因不明の本態性のものと二次性のものとに分けられ、本態性のものは、さらに先天的と後天的のものに分けられる。先天的のもののうち、四肢の奇型、皮膚の色素沈着を伴った症例をファンコニ(Fanconi)貧血といい、染色体の異常がみられる。各種薬剤あるいは薬品の投与後起きる再生不良性貧血を二次性再生不良性貧血とよぶが、疑わしい薬剤の投与後半年以内に起こることが多いと報告されている。
症状
本症に最も特徴的にみられるのは、汎血球減少である。その臨床症状は汎血球減少の持続、程度とその範囲によって左右される。血小板減少による出血、白血球減少による感染と貧血が主症状である。再生不良性貧血の貧血は、基本的には正球性正色素性であり、それが存在する場合は骨髄に血液学的または非血液学的な悪性腫瘍の有...