1 ヴィクトリア時代の詩について述べよ
ヴィクトリア時代は代表的な詩人のテニスンやブラウニングらは別にするとして、詩的創造に関しては全体に不毛の時代であったといえよう。
ヴィクトリア朝の代表的詩人はブラウニングとテニスンであるが、両者は著しく対照的であった。テニスンが既定の道徳に則り時代思潮に強調的であったのに対して、ブラウニングは因襲を顧みない奔放な人であり、テニスンが、美しい韻律を駆使してヴィクトリアニズムを表現したのに対し、ブラウニングは硬く激しい言葉づかいで独自の境地を開いた。
テニスンは初め、キーツ、コウルリッジらロマン派の詩人の影響を受け、時代の風潮に適合した詞を歌う名人となった。
テニスンの代表作「イン・メモリアル」は親友ハラムの早世を悼んだ短編からなり、タイトルには、「生と死に関する魂の旅路の記憶」という意味がこめられている。この作品には絶望から始まり懐疑を経て信仰の回復に至る経過が描かれ、そこにはヴィクトリア朝の人々を悩ませた問題が反映されている。深い思索は見出せないけれども科学と信仰の調和の試みがなされ、彫琢に彫琢を加えた言葉を書き連ねてありヴィクトリア朝詞の最大の...