第三章 協働システムにおける物理的・生物的制約
人に対する考え方として二つの立場がある。一つは、人には選択する力や自由意志が備わっており、それには目的が伴うという立場である。もう一つは、逆に人には制約が存在するという立場である。このように人には目的があるとともに制約が存在することから、人は目的を達成し制約を乗り越えるために協働が生じるのである。これに関連するプロセスが、産業界では技術であり、組織では慣行や制度である。
こうしたプロセスの全てに関心を持っている人はおらず、通常はいくつかの技術をマスターすることに人生を費やすものである。しかしながら、そういったプロセスの全体的な意味は未だ展開されてきていないように思われる。そのため、協働や組織の不安定性、経営者の意思決定の役割を理解するためにそういったプロセスを2,3の原則にまとめることが必要となる。
以下で扱う5つの問いはシンプルではあるが答えることが難しい問いである。
(1)なぜ協働は有効的であるか、またそれはいつか。
(2)協働的なプロセスの目的は何か
(3)協働の限界はどのようなものか
(4)協働システムが不安定...