調剤学 演習問題 薬剤師国家試験問題 (85-94回、問211-240) の解答解説
問211(85回).インフォームド・コンセント(IC)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。 a 医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るように努めなければならない。○ b 医療を行う際には、患者の「知る権利」を尊重して患者に情報を適切に開示・説明し、その上で患者の「自己決定権」の行使としての同意を得る。○ c 医療法にはICに関する努力義務規定がある。○ d ICにおける説明には、同意取得のための事前説明以外に、治療中の薬害防止などのための説明も含まれる。○
問212.ヘルシンキ宣言に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。(85回) a 本宣言は、動物を対象とする生物医学的研究に携わる研究者に対する勧告である。×
解:本宣言は、人を対象とする生物医学的研究に携わる研究者に対する勧告である。
b 医学の進歩は研究に基づくが、動物を用いた研究がその主要な部分をしめる。×
解:医学の進歩は研究に基づくが、人を用いた研究がその主要な部分をしめる。
c ヒトを対象とした研究においては、被験者の福利に対する配慮よりも、科学的、社会的なことを優先させなければならない。×
解:ヒトを対象とした研究においては、被験者の福利に対する配慮よりも、科学的、社会的なことを優先させてはならない。
d ヒトを対象とする研究は、科学的原則に従って適切に行われた基礎実験、動物実験、さらに科学的文献による知識に基づくものでなければならない。 ○ e ヒトを対象とする研究において、被験者はその研究の目的、方法、予想される利益と危険性及び不快さについて、十分情報を与えられなければならない。○
問211(86回) 医療及び生命倫理に関する記述について、正しいものの組合せはどれか。 a 臨床試験(治験)の被験者は、いつでも、自由に治験への参加を撤回できる。○ b 治験コーディネーター (CRC) は、治験を円滑に推進するため、治験関係者間及び被験者との調整を行う。○ c 治験におけるインフォームド・コンセントとは、患者に十分わかりやすい言葉で説明し、患者の理解、患者の自由意思に基づく口頭での同意を得ることである。×
解:治験におけるインフォームド・コンセントとは、患者に十分わかりやすい言葉で説明し、患者の理解、患者の自由意思に基づく文章での同意を得ることである。
d 緩和医療では、不安の除去、疼痛のコントロールなど患者のQOLの向上を重視する。○ e 薬剤師が守秘義務に違反した場合、被害者の告訴により刑事責任は生じるが、民事、行政責任は問題とならない。×
解:薬剤師が守秘義務に違反した場合、被害者の告訴により刑事責任、民事、行政責任が生じる。
市販後調査
問216.(85回)既に市販されている医薬品に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 a 薬物相互作用を検討するために計画された市販後臨床試験は、治験審査委員会の審査対象外である。×
解:薬物相互作用を検討するために計画された市販後臨床試験は、治験審査委員会の審査対象である。
b 使用成績調査は「医薬品の市販後調査の基準(GPMSP)」の対象外である。×
解:使用成績調査は「医薬品の市販後調査の基準(GPMSP)」の対象である。
c 医薬品等安全性情報報告制度で報告される副作用などの件数は年々増加している。○ d 特別調査では、小児、高齢者などの特殊な患者群における使用成績が主に調査される。○ e 市販後調査の結果は再審査資料として使用できない。×
解:市販後調査の結果は再審査資料として使用できる。
問213 (89回) 医薬品の市販後調査(PMS)に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 a 「緊急安全性情報」は、医薬品の安全性に関する緊急かつ重要な情報を製薬企業関係者へ伝達するものである。×
解:「緊急安全性情報」は、医薬品の安全性に関する緊急かつ重要な情報を医療関係者へ伝達するものである。
b 再評価制度は、すでに承認された医薬品について、現時点の医学・薬学の学問的水準から品質、有効性及び安全性を見直す制度である。○ c 再審査の結果によっては、承認の取り消し、承認事項の一部変更、又は必要に応じて添付文書の「使用上の注意」の改訂が行われる。○ d 特別調査は、販売開始後1年間、診療において医薬品の適正な使用を促し、副作用や感染症の症例発生を迅速に把握するために行う調査である。×
解:特別調査は、市販後調査のうち特定の患者、医薬品使用における有効性及び安全性に関する情報等の検出又は確認を行う調査を言う。
e 医薬品の市販後調査の基準(GPMSP)の目的は、市販後調査の適正な実施の確保と、その結果に基づいて作成される資料の信頼性を確保することである。○
問211 (87回) 医薬品の副作用報告、市販後調査及びこれらに関連する制度に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 a 保険薬局は、医薬品等安全性情報報告制度の対象ではない。×
解:保険薬局は、医薬品等安全性情報報告制度の対象である。
b 医薬品を投与された患者に生じたあらゆる好ましくない出来事を有害事象とよび、このうち当該医薬品との因果関係が否定できないものを副作用とよぶ。○ c 医薬品の市販後調査とは、有害事象と副作用のみを調査する制度である。×
解:医薬品の市販後調査とは、有害事象、副作用、有効性、QOL等を調査する制度である。
d 市販後調査により収集された情報は、薬剤疫学の解析対象となる。○
問236 (89回) いわゆる先発医薬品と後発医薬品に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 a 後発医薬品の使用促進が求められているのは、医療費抑制と患者自己負担の減少効果があるといわれているからである。○ b すべての後発医薬品は、その他の医薬品(いわゆる先発医薬品)と同一の剤形、含量、投与経路、効能・効果、用法・用量を有する。×
解:すべての後発医薬品は、その他の医薬品(いわゆる先発医薬品)と同一の剤形、含量、投与経路、効能・効果、用法・用量を有するとは限らない。
c 薬剤師の判断により、処方されたいわゆる先発医薬品を、後発医薬品に替えて交付する代替調剤は、わが国では許可されていない。○ d 医療用医薬品品質情報集(いわゆるオレンジブック)は、後発医薬品の品質再評価の進捗状況を示すほか、溶出パターンなどの情報が記載されている。○ e 後発医薬品の開発に際しては、第2相、第3相臨床試験のみが必要である。×
解:後発医薬品の開発に際しては、臨床試験成績は必要でない。
適正使用
問212 (87回) 医薬品の適正使用に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 a 薬物療法を効果的に進めるためには、患者の服薬コンプライアンスを高めることが重要である。○ b 患者の状態に合った最適な薬剤を選択することは、薬剤師の裁量で行える。×
解:患者の状態に合った最適な薬剤を選択することは、薬剤師の裁量で行えない。
c 医薬品の適正使用を遂行するには、適切な医薬品情報の収集、整理、評価及び提供が不可欠である。○ d 医薬品の有効性情報は、安全性情報よりも優先されるべきである。×
解:医薬品の安全性情報は、有効性情報よりも優先されるべきである。
e 医薬品の適正使用は、患者のQOLや医療経済学的な観点から重要である。○
問214 (89回) 根拠に基づく医療(EBM)の進め方として、順序の正しいものはどれか。 a 疑問の明確化 b 結果の自己評価 c 情報の批判的吟味 d 情報の患者への適用 e 情報の収集 1 a → e → c → d → b 2 a → d → b → c → e 3 a → b → c → e → d 4 a → c → e → d → b 5 a → e → b → c → d
問231 (89回) ファーマシューティカルケアに関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。 a 「お薬手帳」には、患者の診療記録の履歴情報が経時的に詳細に記載されている。×
解:「お薬手帳」には、患者の処方薬・服薬情報が経時的に詳細に記載されている。
b 抗癌剤が処方された患者への服薬指導では、まず、癌の告知がされているかどうかを患者に確認する。×
解:抗癌剤が処方された患者への服薬指導では、まず、癌の告知がされているかどうかを主治医に確認する。
c 患者が副作用を訴えてきた場合、主治医への連絡が基本となる。○ d 高齢者に対する服薬指導では、服薬によるADL(activities of daily living)の低下にも注意を要する。○
医療用語
問214.(85回)次の用語・英訳・その略語に関する対応のうち、正しいものの組合せはどれか。 a 治験コーディネーター ---------- Clinical Report Coordinator --- CRC×
解:治験コーディネーター ---------- Clinical Research Coordinator --- CRC
b 終末医療 -------------------- Evidence-based Medicine ------ EBM×
解:終末医療 --------------...
編集:小山