平成18年 刑事第1問
1.甲の罪責
(1)丁に対する罪責
☆傷害罪
【客観的構成要件】
バットを思い切り振り回し左腕に当てる→加療約2週間を要する打撲の傷害
⇒人の身体に対する有形力の行使→人の身体の生理機能に傷害を負わせる
【主観的構成要件】
肩附近を目掛けてバットを思い切り振り下ろす認識
⇒有形力の行使について認識あり
⇒暴行罪の故意あり
【よって】
傷害罪の構成要件該当性あり
☆正当防衛
【問題提起】
丁に羽交い絞めにされて顔面をこぶしで1回殴られたためにされた→違法性阻却されるか?
ア)急迫性
「私が降りていけば、丙らとけんかになるに違いないと思っていた」→急迫性欠けるのでは?
(規範)侵害が急迫か否かは客観的に判断すべき。行為者の主観は影響しない
(あてはめ)現に羽交い絞めされ顔面を殴られるという暴行を受けている→客観的に身体の安全が脅
⇒急迫性あり
イ)不正の侵害
丙と丁が共同して暴行を加えている
⇒不正の侵害あり
ウ)防衛のため
「丙に加勢した丁に対し腹が立って」→防衛の意思があるのか?
(規範)攻撃意思があったとしても、積極的な加害意図をもって相手に攻撃を加え...