血友病の概要をまとめたもの
血友病
「病態」
血友病は、先天性凝固異常の約8割を占め、凝固第Ⅷ因子活性の欠乏した血友病Aと、第Ⅸ因子活性の欠乏した血友病Bの2つのタイプがある。血友病の遺伝子は、Ⅹ染色体の長腕に位置し、伴性劣性遺伝形式をとる。血友病においては、第Ⅷ因子活性または第Ⅸ因子活性が、1%以下の重症、1~5%の中等度、5~30%の軽症とに分類される。
血液凝固因子の欠乏により、関節内に出血して関節血腫を生じる。繰り返し出血した血液は骨膜に吸収され、ヘモジデリン症となる。骨膜は肥厚し、関節軟骨の栄養は障害されて変性や破壊が起きる。好発部位は打撲しやすい膝や肘である。
障害は、①出血とその二次的変化、②補充療法の副作用(肝炎、AIDS)、③社会的不利益、偏見、差別などによりもたらされる。機能障害は関節破壊とそれに伴う変形や疼痛が生じる。また、筋肉内・頭蓋内出血は運動機能に影響を与える。筋力低下により起居動作障害や歩行障害が起こる。社会的不利は、能力低下によるもの以外にも就業や生活上で偏見や差別が生じ、学校生活や社会生活に大きな影響を及ぼす。
「症状」
4~5歳で初発...