社会科では、教師と児童が教材を手がかりに活動をする過程が重視されるが、この過程を児童中心にとらえた場合を学習過程と呼ぶ。社会科の学習では、教師が一方的に授業を展開するのではなく、児童一人ひとりが主体的に授業に参加し、意欲的に学習に取り組むことで、社会認識の形成を図ることができるといえる。そのためには、児童の思考の筋道にあった学習過程の構成が必要不可欠である。学習過程の構成において、具体的に以下の3つの条件を満たすことが大切である。まず、その授業のめあてや目的を明確にし、児童に目的意識を持たせ、意欲的に学ぶ姿勢を持たせることである。次に、事実認識の重視である。児童が自分の目や耳を使って事実を確認することで、児童の思考力が高まり、事実認識を確かなものにすることができる。最後に社会的事象のもつ意味を深く考えることだ。社会的事象を一つ一つ断片的に考えてしまうのではなく、他の事象との関連や背景にある社会的意味なども考えさせるようにする。また、社会的事象と自分を含んだ社会生活との関連を考えることは社会認識の形成に欠かせないものであるため、このような視点も学習過程の構成では必要であるといえる。
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