生物のCa2+イオンとMg2+イオンの利用における違い

閲覧数3,765
ダウンロード数0
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

     マグネシウムは原子番号12の元素であり、アルカリ土類金属の一つ(現在は、狭義の意味ではアルカリ土類金属に含めない)です。
     カルシウムは原始番号20の元素であり、アルカリ土類金属のひとつです。
     マグネシウムとカルシウムの性質的違いを利用しているものとして鞭毛や繊毛が上げられます。
     単細胞生物のゾウリムシは体表に多数存在する繊毛により活発な遊泳行動をおこないます。ゾウリムシを洗剤のような界面活性剤によって処理することで膜が壊れると、細胞からは細胞質が流れ出して細胞は死んでしまうが、微小管のような細胞内部の構成分子は、低温で保存している間は分解されずに残っています。その繊毛はATPとMg2+イオン混合液の中で正常に打ち始め、遊泳方向は前向きに泳ぎはじめます。そこにCa2+イオンを加え、その濃度を5 x 10-6 M 以上にすると、繊毛の有効打方向が逆転し、丁度生きているゾウリムシが障害物にぶつかって後ずさり、あるいは回転するような運動を示します。
     ATPとCa2+イオンの混合液(Mg2+イオンを含まない)に入れると、繊毛打は起りませんが、後方をさして止まっていた繊毛の先端が、前方を指す位置まで動いてその位置で停止するのが観察されます。もし、ここにMg2+イオンがくわえられると、細胞は後ろ向きに泳ぐ事になります。
     つまり、繊毛には繰り返し打つことに関係する機構と、有効打の方向をきめる機構とが存在し、前者の活性化には、Mg2+イオンが、後者の活性化には、Ca2+イオンが各々必要であり、両機構ともATPをエネルギー源としている事を示しています。
     このことからゾウリムシの細胞内にはMg2+イオンがCa2+イオンよりも高い割合で存在し、ゾウリムシにはMg2+イオンを取り入れ、Ca2+イオンを排出する仕組みがあると考えられます。水中ではCa2+イオンの割合がMg2+イオンよりも高いために、繊毛打を逆転するときにCa2+イオンの方が取り入れやすいからと考えられます。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    生物のCa2+イオンとMg2+イオンの利用における違い
     
    マグネシウムは原子番号12の元素であり、アルカリ土類金属の一つ(現在は、狭義の意味ではアルカリ土類金属に含めない)です。
    カルシウムは原始番号20の元素であり、アルカリ土類金属のひとつです。
    マグネシウムとカルシウムの性質的違いを利用しているものとして鞭毛や繊毛が上げられます。
    単細胞生物のゾウリムシは体表に多数存在する繊毛により活発な遊泳行動をおこないます。ゾウリムシを洗剤のような界面活性剤によって処理することで膜が壊れると、細胞からは細胞質が流れ出して細胞は死んでしまうが、微小管のような細胞内部の構成分子は、低温で保存している間は分解されずに残っています。その繊毛はATPとMg2+イオン混合液の中で正常に打ち始め、遊泳方向は前向きに泳ぎはじめます。そこにCa2+イオンを加え、その濃度を5 x 10-6 M 以上にすると、繊毛の有効打方向が逆転し、丁度生きているゾウリムシが障害物にぶつかって後ずさり、あるいは回転するような運動を示します。 ATPとCa2+イオンの混合液(Mg2+イオンを含まない)に入れると、繊毛打は起りませ...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。