学力低下とは何かを明らかにし、社会階層のような社会的不平等と学力がどのような関わりをもつのかについて述べてください。
このところの学力調査関連のニュースは、必ずといっていいほど「子どもの学力が低下している」という結果の報告である。客観的なデータを通してこれだけ学力低下ということを耳にすれば、子どもの学力が何らかの理由で下がっているということは認めざるを得ない状況になってきた。事実、文部科学省でさえも、「わが国の学力は世界トップレベルとは言えない」と初めて公表したのである。
一般的に、学力調査の結果として低下しているといわれる学力の大半は、いわゆる「見える学力」を指している。よって、学力低下といえば、子どもの知識や理解が不十分であるということや、技能が低下しているということを表していると思われがちである。
しかし、この国際学力調査の結果は、日本の子どもの「見える学力」ばかりではなく「見えない学力」までもが低下しているということを露呈させたのである。例えば、「算数が好き」と答えた子どもは、調査対象国の中で日本は下から2番目に位置しており、算数における子どもの関心・意欲・態度が低下している...