統合失調症
統合失調症は、従来、精神分裂病とよばれていた精神疾患の新呼称である。この名称の変更の経緯については、「はじめに」および後述の項で解説してある。本書では、主として統合失調症の名称を用い、必要に応じて精神分裂病を単独で用いるか、一部併記することとしている。
1)発病年齢
統合失調症(schizophrenia)は、いわゆる内因性精神病の代表とされる疾患であり、一般に、10歳代後半から30歳代にわたる、若い年代に発病する場合が多い。
その発生率は、わが国の場合、0.7%前後といわれ各国の統計(0.5~1.0%)と大差がない。つまり100人中1人弱が発病するわけで、まれな病気ではない。
2)発病原因と経過
発病原因として、脳内神経ホルモンの変化が関与しているのではないかといった生物学的基盤が想定されているが、まだ解明されていない。
症状や経過が一様でなく、また、発病初期の客観的な予後判定が難しいことが、この疾患の治療の困難さの同一因ともなっている。
確かに治療上の困難さが多く、個人的にも社会的にも大きな問題をもたらす疾患ではあるが、昔に比して荒廃状態といえる患者が激減したこと、外来...