社会的特徴
A 社会的役割の変化
1.定年後の生計
壮年期が社会の生産活動(就業や子育て)に直接かかわっている時期だとすれば、老年期は社会における生産活動からは一歩後退する時期ともいえよう。
多くの企業や役所では定年制が敷かれているため、勤労者は一定の年齢(国家公務員などは60歳)に達すると職業からの引退を余儀なくされる。
社会の第一線からの引退は、高齢者の生活や健康に様々な影響をもたらす。このように、定年制により引退を余儀なくされた勤労者は、まだ体力や精神力は働くのに十分であること、年金だけでは生計の維持が難しいことなどの理由で、第2の職場を求めて就職することも多い。今日のわが国では、60~64歳では約7割、65~69歳の年齢では約6割の人が何らかの職業に就いている。
年金だけでは生計の維持が難しく、稼働所得*に頼らざるをえない状況にある。
高齢者世帯のなかには一部に高収入の世帯がみられるものの、全世帯をみると低収入の世帯の割合が多くを占めている。
2.働き続けること
勤労者の職業からの引退は、一方では義務や束縛からの解放を意味しているが、その一方で、経済力の低下ばかりでなく、社会的...