人は、国民たる地位に基づいて国の統治権に服し、かつ基本的人権を享有するが、特定の者が特別の法律上の原因によって一般の統治関係とは異なった特別の関係に入った場合に、基本的人権の保障を受けるかどうかが問題となる。このような特別の法律関係を伝統的な公法理論は、特別権力関係と呼んで、このような関係に置かれた特定の者が一般の国民の場合よりも基本的人権を広く制限されることを正当化してきた。
◆特別権力関係:法律が一定の行政目的を達成するために創設した特別の制度に国民が編入され、その制度を運営する行政権の包括的な支配権に服すること=特別の包括的な支配・服従関係
◆特別権力関係が成立する場合
・本人の同意によって成立する場合
・・・Ex,公務員の任命、国公立学校への学生の入学
・本人の意思とは無関係に法律の規定に基づく場合
・・・Ex,受刑者の刑務所への収容、伝染病患者の強制入院
教科書講読 I、人権編 4、誰の人権か
「人権の保障と制限」
Ⅱ、特別権力関係論(特別公法関係論)
1、意義
人は、国民たる地位に基づいて国の統治権に服し、かつ基本的人権を享有するが、特定の者が特別の法律上の原因によって一般の統治関係とは異なった特別の関係に入った場合に、基本的人権の保障を受けるかどうかが問題となる。このような特別の法律関係を伝統的な公法理論は、特別権力関係と呼んで、このような関係に置かれた特定の者が一般の国民の場合よりも基本的人権を広く制限されることを正当化してきた。
◆特別権力関係:法律が一定の行政目的を達成するために創設した特別の制度に国民が編入され、その制度を運営する行政権の包括的な支配権に服すること=特別の包括的な支配・服従関係
◆特別権力関係が成立する場合
・本人の同意によって成立する場合
・・・Ex,公務員の任命、国公立学校への学生の入学
・本人の意思とは無関係に法律の規定に基づく場合
・・・Ex,受刑者の刑務所への収容、伝染病患者の強制入院
2、原則
(1)特別権力の主体は、命令権・懲戒権などの包括的支配権を与えられ、個々の場合に法律の根拠なくし...