瘙痒感
1 症状が生じる病態生理
1.瘙痒感とは
瘙痒感とは,皮膚を掻きたいという欲求を引き起こす皮膚の不快な感覚である。皮膚の浅層,粘膜に分布している知覚神経の終末が刺激されて起こる。
2.かゆみのメカニズム
通常,かゆみには末梢性のかゆみと中枢性のかゆみの二つがあるといわれている。
1)末梢性のかゆみ-皮膚疾患によるもの[表1]
皮膚疾患のかゆみの多くは末梢性である。病的条件下では抗原とIgE抗体の相互作用によるアレルギー反応などの刺激により,ヒスタミンなどの化学物質が肥満細胞から遊離し過剰に生産されるの。それが表皮.真皮接合部に存在するかゆみ受容体と呼ばれる自由神経終末に作用して,生じたインパルスが求心性C線維(末梢神経のなかで最も伝導速度が遅く細い)により脊髄に伝達され,脳幹,視床,大脳皮質まで到達するとかゆみとして知覚される[図2]。また炎症症状とともに強い療痒が現れるのは,炎症による局所的なペプチド・アミン類(起痒物質の一種)の産生が原因といわれている。
湿疹や白癬のように皮膚の炎症反応は瘙痒と結びつくことが多いが,そうでない場合もある。痴(おできのようなもの)のような化膿...