1-1. ジョージ・モデルスキーの長期サイクルは、1494年以降の国際紛争とそのリーダーシップのパタンを描くことによって、これまでの政治の展開を整理している。長期サイクルの研究者にとって、近代世界システムの誕生を示す年が1494年となっている。その理由は、第一に、1494年にイタリア戦争が開始され、それがすぐにインド洋へと拡がり、その意味でそれは、近代における最初のグローバル戦争となった。次に、このグローバル戦争は、最初の体系的な長期サイクルの第一フェーズとして説明される。第二にまたその1494年は、海洋管理のための最初の分化した体制を公式に画期づけた。このことは、グローバル戦争の結果によって再確認されている。
1-2. 国際政治の主役となる覇権国家が、約100年単位で交代してきたというモデルスキーの考え方は、軍事力の集中度を軸にして考えられたが、これを金融・経済の側面からも観察すると、覇権国家においては、初期においてその前の覇権国家の没落とともに、前覇権国家から大規模な期待とお金が流れ込むことによってバブルが起こることが多いようである。そしてバブル後の暴落を適切に処理し体制を強化する...