1.古典法とは、古典時代(2 世紀の初葉から 3 世紀の中葉にわたる、ほぼ元首制に相当する
時代)の法をいう。また、ユスティニアヌス法とは、ユスティニアヌスの命により編纂された法典
をいう。
古典時代においては、独創的な法学者の存在と、勅許解答権制度の存在とが相まって、
学説法としてのローマ法が生まれた。また、2 派同時に併存する学派により、精緻な法理論
の論争が展開され、数多くの法学書が著された。ローマ法学が最も隆盛を極めた時代ともい
える。
しかし、元首制の確立により、元首が立法権を有すると、皇帝の意思・命令すなわち勅法
が法律としての効力を有することとなった。そして、引用法によって効力を認められた学説以
外の学説は、裁判において引用することが禁じられ、ここに、学説法の発展は停止し、固定
化したのである。
2.527 年、ユスティニアヌスは帝位につくと、ローマ帝国を 1 人の皇帝・1 つの教会・1 つの法
のもとに再現するという理想の実現のため、ゲルマン人の支配するところとなっていた北アフ
リカなどを奪還し、法典編纂事業に着手した。その経過は次の通りである。
(1)528 年 2 ...