w0774 社会福祉援助技術②

閲覧数2,223
ダウンロード数111
履歴確認

    • ページ数 : 7ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    資料の原本内容

     「ソーシャルワークの展開過程と、それぞれの過程に関わる知識や技術(技法)について述べよ。」
     ソーシャルワーク実践
    ソーシャルワーク実践は、クライエントのニーズを充足できるように利用者とソーシャルワーカーが協働で取り組み、問題を明確化し、その解決のためにクライエント自身とその環境に働きかける為に行われる一連の行為の積み重ねからなる援助活動の時間的な流れである。今日の複雑な社会生活ニーズに対して適切な社会資源を結びつけたり、社会資源の開発、クライエントのストレングスを見出し、クライエント自身と環境との交互作用に焦点化し働きかけるとされる。
     ソーシャルワークの展開過程
    ソーシャルワークの展開過程には、①ケースの発見、②情報収集、③アセスメント④援助計画⑤援助実施、⑥モニタリングや再評価、効果測定、⑦予防を含めた相談援助から構成され、これらは時間の経緯に伴い直線的に移行するのではなく、状況の展開とともにフィードバックされる循環的展開過程であるとされる。
     ①ケースの発見―申請者とワーカーが面接によって問題点を明確にし、ラポール(信頼関係)を築くことから始まる。これをインテーク(受理)と呼び、ソーシャルワーカーは申請者の主訴を受容と共感の態度で関わり技法を用いながら傾聴し、そのニーズが何かを的確に把握する段階である。ワーカーが所属する機関や施設が提供できるサービス内容と機能を情報として明示し、申請者の要求と関連させ十分な理解と説明を行い、申請者のニーズとワーカーの機能が適応するか否かを検討し(スクリーニング)、申請者に選択させる事が大切である(契約)。ソーシャルワーカーが留意する点は、申請者の個別化を徹底し、申請者の存在を尊重するソーシャルワークの価値に立って申請者を捉える必要がある。また、緊急性、危険性があっても、相談に来られない人の場合には、援助者側から接触を試みるアウトリーチを用いる事がある。
     アウトリーチとは、「顕在化している利用者のみならず、潜在的にニーズを持っているサービス対象者や地域に対し、ワーカー及びクライエントの日常の場に出向き、必要な情報やサー機関が積極的に関わり、サービス利用を働きかけること」と定義されている。つまり、クライエントの日常生活の場に出向き、必要な情報やサービスを提供する活動で、特に福祉行政機関や地域福祉の領域において求められる機能であるとされる。インボランタリー・クライエントと言われる自発的に援助を求めないクライエントを対象としたソーシャルワーク実践の重要な技法とされる。
     ②情報収集―インテーク段階で申請者が当該施設、機関において援助を受ける選択した事を受けて始まる(契約)。専門的な援助を受けると自己決定をしたクライエントの問題の本質を把握し、アセスメントするために多方面からの情報を活発的に展開する。ソーシャルワーカーは人と環境の相互作用を対象に介入し、クライエントと協働し問題解決を図る。そのため人と環境に関する情報が収集され、その相互作用を検討する必要がある。問題状況に関するクライエントの感情や考え方、ストレングス、これまでの問題対処パターンやニーズが充足されない理由、非言語的な感情からも収集する他に、クライエントの家族や関係機関、経済的な情報や関係文書等から収集する。信頼関係をベースに、クライエント自身が問題状況を話し易いよう、面接技法を用いた情報を得ることが求められる。その際は、情報が整理しやすいようアセスメントシート等のツール活用したり、スティグマや偏った情報収集をしないよう注意する必要がある。
     ③アセスメント―収集した情報を基に、アセスメントで整理・分析される。実際援助を展開する前に、情報に基づく問題状況、クライエントのストレングス、活用できる有効な社会資源を明確化していく中で、援助展開の土台を固める段階でもある。ソーシャルワークの価値に立ち、総合的にクライエントを評価する視点を保つ必要がある。ニーズが確定し、情報収集やソーシャルワークの価値とともにアセスメントが行われる事で、クライエントに最も適切な援助の具体的な目標設定をクライエントとともに考え、立案する段階となる。多くの場合、緊急性を要するものから中長期の展望のもとに、設定すべき目標までを視野に入れて行う必要がある。
     ④援助計画(プランニング)―アセスメントを基に、具体的な援助の実施計画や短中長期目標を設定して、プランニングを行う。クライエントのストレングスや資源を活用し、クライエントが自らの福利を増進させようとする事が援助の目的であり、援助計画はこの目的に沿っているかどうか最終的に点検される必要がある。また、計画策定にあたっては、常にクライエントとの協働が基本とされる。
    ⑤援助実施―策定された援助計画に沿い、クライエントとその環境に働きかけ、問題状況を含むクライエントシステムに変化を起こすための介入を行う段階である。利用者の問題対処能力を高め、他業種からなる援助チームの形成やケースカンファレンスを実施し情報を共有し、アボドガシー機能の権利擁護の実施や、クライエントがエンパワーメントできる情報の提供を行う必要がある。
    ⑥モニタリング、再評価、終結、効果測定―援助計画に沿った介入が行われたかを経過観察し、振り返り評価する段階とされる。援助活動の進行状況の確認、状況の変化や新しいニーズの発生の有無の見極めを行い、再アセスメントが必要かどうかの確認を行う。ソーシャルワーカーは、クライエントのエンパワーメントの機能を担うと同時に、介入の効果分析、サービスの見守りが必要とされる。その際、クライエントだけでなく、サービス提供者からもモニタリングを行う必要がある。クライエントの状況に関するモニタリングは、普段の生活状況を把握できる、生活場面面接が有効とされる。また、サービス提供状況に関する場合は、サービス担当者会議(ケア会議)等を実施し、秘密の保持に基づく情報の共有化に有効とされる。こうして問題が解決されたり、クライエント自身で解決可能となれば、支援の必要性が無くなり終結の段階となる。
    効果測定は一定期間援助が実施され支援計画の施行状況を確認し援助やサービスの妥当性を測る事で、相談援助専門職として、いかなる効果を持ち支援実施に至ったか、説明責任(アカウンタビリティ)を果たす必要がある。また、実践の事例やデータを集積した効果測定の結果を根拠に次の実践に活かす、エビデンス・ベースド・プラクティスの考えや今後の支援に向けたスキルアップのための、スーパービジョンにも活用でき、支援体制の向上や強化に効果的であり、支援経過は、実践の継続性の担保する上でも、事例研究やスーパービジョンにも活用できる支援記録を残す事も重要であるとされる。
    ⑦予防も含めた相談援助―①~⑥は個人の援助展開過程であるが、地域には同じような問題を抱える人が多い。地域として、ケアシステムを構築し、援助関係機関の連携のもと、サービス開発や予防活動など、効率的・効果的な援助を行う事が重要であり、課題である。そのためには、小地域におけるインフォーマル、フォーマルな資源の開発やネットワーク形成であるソーシャルサポートネットワークの構築やアボドガシー機能を積極的に発揮し、ソーシャルアクションによる社会変革がソーシャルワーカーに期待されていると考える。
    参考著書
    『社会福祉エッセンス 第2版』
    三浦文夫 編著 2008年1月
    自由国民社
    『社会福祉キーワード 補訂版6版』
    平岡公一・平野隆之・副田あけみ 編著
    2008年1月 有斐閣双書
    『ソーシャルワーカーとケアマネジャ―の為の
    相談支援の方法』
    狭間香代子 編著 2008年4月
    久美株式会社
     社会福祉援助技術Ⅰ  
    (1)

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。