C株式会社は、市場動向の変化への対応が遅れたため、その業績は、必ずしも良好ではなく、長らく低迷を続けていたところ、2008年秋以降のいわゆる金融危機の影響により、その収益が一層悪化し、同年12月には、人員整理もやむなしとの判断に至り、その旨を同社労働組合cに提案したところ、c組合は、たとえ賃金は下がっても、組合員の首切りは避けたいとし、すでに春闘段階で成立していた冬季一時金協約の破棄を受け入れるとともに、2009年1月以降、組合員の月額基本給を一律10%引き下げることを内容とする労働協約を締結した。この労働協約の効力如何。
参考文献 菅野和夫 労働法 第七版補正二版 弘文堂
C株式会社は、市場動向の変化への対応が遅れたため、その業績は、必ずしも良好ではなく、長らく低迷を続けていたところ、2008年秋以降のいわゆる金融危機の影響により、その収益が一層悪化し、同年12月には、人員整理もやむなしとの判断に至り、その旨を同社労働組合cに提案したところ、c組合は、たとえ賃金は下がっても、組合員の首切りは避けたいとし、すでに春闘段階で成立していた冬季一時金協約の破棄を受け入れるとともに、2009年1月以降、組合員の月額基本給を一律10%引き下げることを内容とする労働協約を締結した。この労働協約の効力如何。
労働協約とは、労働組合と使用者またはその団体との間の労働条件その他に関する書面による協定をいう(労組法14条)。以下で、労働協約の機能について、次に、法的性質について述べた後、協約自治の限界の問題について述べる。
わが国で支配的な企業別協約を中心として労働協約の機能をみると、労働協約には第1に、労働条件その他の労働者の待遇の基準を設定してこれを一定期間保障する機能(労働条件規制機能)がある。また第2に、労働組合と使用者間の諸関係に関するルールを設定する機能(労...