最初に貨幣の諸機能について述べる。貨幣には現実の商品流通の中で、様々な機能が付与されており、その機能は五つに分けて説明ができる。まず始めに、諸商品の価値表現の材料や価値の一般的尺度としての貨幣機能である価値尺度機能がある。商品は価格を通して質的に同等で量的に比較可能となるため、価格をもって市場に登場しなければならない。その結果、国家の法制化を通して金の一定量が価格の度量基準となり、貨幣名が定められることになる。第二の機能は、貨幣が商品流通の媒介者として、販売と購買を分離し媒介機能をもつ流通手段機能である。交換は商品と貨幣との流通であり、物々交換のように直接に欲望が対応しなければ交換が成立しない場合とは異なり、流通手段としての貨幣の媒介によって、全面的に社会化していくことになるのである。第三は価値保蔵機能であり、これは貨幣の価値が商品のようにその使用価値によって制限されていないことから生じるものである。このとき貨幣は、販売の自己目的化によって生じた蓄蔵が行われ、その蓄蔵された貨幣が貸付資本や高利貸資本として機能し、自己増殖欲、蓄財をもたらすことになる。第四は、取引の恒常化に伴う信用形成に...