合理的・論理的にみて正しい解(規範解)から外れた解が得られてしまい、しかもその歪みの方向が一定的かつ系統的であることを指している。ゆえに、規範解を定められないような推論について、生じるバイアスを調べることは困難であり、これまでのバイアス研究の多くも、規範解の存在する推論課題を題材に行われてきた。主な研究対象は、演繹推論と、確率推論であった。
演繹推論とは、先に示した例のように、一定の論理規則にしたがって、与えられた命題から、与えられていない命題を導く推論のことである。
また、確率推論とは、確率にかかわる推論のことである。ある種の課題については確率論的な観点から規範解を定めることができる。
思考におけるバイアス
10月29日提出
目的
我々は、日々の生活の中で意思決定を行う際、非常に多くの推論(推理)を行っている。例えば、「彼女は背が高い。女性は自分より背の高い人が好きだ。僕は彼女より背が低い。ゆえに彼女は僕のことが好きではないだろう…」といった考えは、まさに日常における推論である。
我々は日々、こうした推論を気づかぬうちにしているのであるが、こうした思考のうちには、多くの局面において系統的な歪み(バイアス)を示すことがあると知られている。
ここでいうバイアスとはすなわち、合理的・論理的にみて正しい解(規範解)から外れた解が得られてしまい、しかもその歪みの方向が一定的かつ系統的であることを指している。ゆえに、規範解を定められないような推論について、生じるバイアスを調べることは困難であり、これまでのバイアス研究の多くも、規範解の存在する推論課題を題材に行われてきた。主な研究対象は、演繹推論と、確率推論であった。
演繹推論とは、先に示した例のように、一定の論理規則にしたがって、与えられた命題から、与えられていない命題を導く推論のことで...